空をみて

動画で日展が開催されてることを知り六本木にある国立新美術館へ足を運んだ。この1週間程ですっかり秋というのかすっぽりと冬に入ったような寒い曇り空、身が少し緊張した。久しぶりに見る湾曲の硝子窓のその建物には吸い込まれるように沢山の人が入っていく姿、中のレストランで食事している人たちの光景でさえ絵のようだった。

日展日展とよく耳にしていたが実際に観たことがなかったので、チケットを購入して1F~3Fまで展示があることを知り規模の大きさを実感しつつまずは1F日本画を観始めた。時間のことはもう最初からすっかり飛んでそれぞれの絵の魅力に引きこまれる。大きさもさることながら一枚の絵の中にどれ程多くの筆が入れられているかどれ位で描き上げられたのか、どういう思いで(絵によってQRコードがあり説明が読めた)と思いつつ、繊細な線の流れや彩の変化や重なり、構図、只々はぁすごいなと近寄ったり離れたり横から下から、静の中に動、温度や音もしくは無音を感じつつ隣りの違う絵の部屋に入っていくような感覚で鑑賞していた。

平日日中ということもあり正装された中高年の方が多く、先生の描き方がどうこうという話しが聞かれたり構えのいいカメラマンらしき人、画家らしき人があちらこちらと観て歩く。実際見入ってしまい順路が分からなくなり多く歩いた気がするがいやぁすごいな..と再度小さく漏らしていた。

動画で紹介されていたのは、画家諸星美喜の「ほむ」という絵だった。ほむ=誉む という意味でどこの動物園だったかそこで実際に写生されて作品にされていく内容のもの、ここにあったと拝見した。七面鳥のきりっとした表情とうらはらに背景の柔らかさ、体の力強そうな動きにしなやかさ、それぞれ反するものの調和が画伯からの優しさなのか感じさせるものを受けとってやはりそこでも暫く見入っていた。QRコードを読み込むと、

「七面鳥の誇り高き鼓動に、面を食らった。圧倒されるほどの強さと、プライド。目まぐるしく変わる顔の色に引き込まれて、いつしか体も心も震えていた。「誉む」は、胸を張り生きることを祈りたたえる思い。自分への応援歌。そんな歌を、今日は大きな声で歌いたい。」

とあった。

画家丸山勉「宿雨」という方上記の日野を舞台、モノトーンの中でその昔を近くで見ているような静かな空気感、青木秀明画伯「青龍」時空を漂い流水に舞うの青の水の龍の今にも迫ってきそうな勇ましい表情、勢いがあってこれも行っては戻って観た絵だった。

花鳥風月、とリアリティなもの、様々な動物たち・・全部が入選や賞..など関係なしに伝えたいもの熟考されたものが一枚の絵から痛烈に響いてくる展覧会だった。

2F油絵にあった「パフェランド」、遊び心があって爽やかで美味しそうな(食いしん坊の為)楽しい絵、印象に残った。

こちらは人物画が多く作品も壁に2段、圧倒されて2F油絵で鑑賞を終えた。ただ又やはり日本画で落ち着きたいと少しだけ又1Fに降りているのだった。

それと、

別室企画展では、大巻伸嗣作のテーマ「空間のゆらぎ」こちらの作品は、展示室に入ると音響と光をつかって生み出される動きのある絵(影)を見て体感する空間で、入口と出口に椅子があり離れたところから眺めるように鑑賞できる工夫もされている。次の展示室には・・ 暗室に入ること、風に揺られているもの、こういう所(場所)に来たことがあるようなないような、はたまた迷い込んだというのか、現実と夢の狭間にいるような不思議な作品の中にいた。

絵は描いた人直接見ることがないからこそその一枚からその彩に決められた、息遣い、そして空気が感じられていいものだなあと思った。

 

追記:カテゴリー芸術の表の写真は、木代喜司作「戦争のない世界」です

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