空をみて

先日は急な帰省となった。食欲はないなと思いながらも店舗前では高菜とじゃこのおにぎりに目がとまり後に手土産を買ってホームへ上がった。先月までのあの暑さがうそのよう少し冷え風が心地よく、乗車する列車を確認し車内点検を行う様子とホームドアの閉まりを確認される作業員さんの仕事される姿をぼんやり眺めていた。

三日前にようやく面会できる体制になった良いタイミングで母と会う事ができた。幸いにも話しもでき、過去現在のことが混ぜこぜになったユニークな内容を(時折子供の表情を覗かせながら)帰るまでずっと聞くことになった。きっとあの時代の生前のあの人の事、その話に該当する人はきっと・・頭の中でパズルの様に辻褄を合わせながら純粋天然母健在で安堵していた。

思いのほか表情も豊かでほっとし予定の時間が大分と過ぎてしまったので「じゃあ又来るね」と言うこと「え、何で帰るの?」と。確かに目を覚ますと病院にいて、部屋も変更したりで混乱していたかもしれないと短く説明するとうんうんと納得した様子「色々ご心配おかけしてすみませんな、ありがとうございました。」とこれは昔からだが丁寧にお辞儀をして手を振り私はようやく部屋を出た。

少しずつ小さくなっていくのを見、昔の事がうその様要らない感情が抜け落ちて素朴な姿があった。いつも玄関には庭で摘んだ花がバランスよく花瓶に挿してありその後ろの小窓にねこが座って絵になっていたのを思い出していた。身体は枯れていくようだがあの表情はうすい桃色の花が咲いているようだった。

「素」に戻って行く両親に会い私自身の力が抜けて(妥当な表現が分からない)重い鎖がはずれたような… 回復したのが何より良かった。

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