休日になると公園内外をふらりふらりと彷徨っている。早くも3月中旬にさしかかって気温が上がりだし今日は珍しく短時間だったがまとまった雨が降った。雨粒が乾いたコンクリートや土に染み入って、そのものの存在を感じさせる匂いが薄く漂い出す。目をつむってでもあぁ土、草、ここは花があると五感センサーが働き少しだけ呼吸が深くなる。ほっとする時がある。
春になる。最近は椿の花に惹かれて足が度々止まり、名前を見たしりから又もや忘れ次の樹から次へと止まりそうで止まらない蝶(そんな可憐なものではないが)のように蜜を吸うように携帯で写真を撮る。一本の樹にピンクの花と縞模様の花、何ででしょうねとその場におられた細見ですっきりとした出で立ちのご婦人と話しになった。
「なんせ椿が好きでね、この時期になると色んな所に見に行っているんですよ。今日はここが初めてなんですが、こんなに色んな樹があって良いですね。どちらからですか?..あぁ良いですねいつでも見れて。うちにも少し15本位あるんですけど(少しですか..と小声)こんなのは初めて見ました。」「どちらからいらしたんですか?」「品川区の方からなんです。昔は伊豆半島まで行ったりしたことがあったんですが、流石にもうこれが最後かなと思って・・」と寂しい事を言われた。「そんな事ないですよ。ここまで来られて足もお丈夫ですしお話も・・・(話しでは80歳後半だったが姿勢もよくとても見えなかった)」と暫く一緒に鑑賞して最後に「又来年いらして下さいね」「ええ、ありがとうございます。一緒にお話しできて良かったです。」と、別れる前にお昼ご飯の場所も質問されていた。心の中できっとこの方は大丈夫だなと何やらぬ確信を得た。と同時に自分も更に歳がいった時にこの方の様に綺麗なもの好きなものを見に歩けたら良いなと思った。
椿を見た後に深い青紫やオレンジのパンジーの花壇が並んでいるのを又足を止めとめ見ていたら、小さな男の子が後から「お花、お花」と、花壇ごとにやはり蝶々が止まるみたいに可愛い声をあげていたのが印象的だった。
そしていつもの公園に足が向き枝垂れ桜に目が留まる。その垂れ下がったしなやかな細い枝に赤い少し長細い蕾がたくさんついていた。この蕾も桜の開花を楽しみに待つ人みたいだなと思った。白いハクモクレンも桃色のシデコブシも雨の日も少し暖かくなった日、今も空に向かって咲いている。告げている。
内では机上にあるピンクに近い紫、青紫、花びらの先の方が桃色の茎をゆらした3本のアネモネ、そしてオレンジ(とても良い色好き!)のフリージアの爽やかな香りを嗅いで春なんだな・・とひっそり感じる今夜。ほんと良い香り。。