いつからか分からないが、少なくとも1年半位その女の子が言葉を発している場面をたまたまかもしれないが見た事がなかった。廊下を歩いて移動する時、休憩中、席に座っている時・・全体の動きから少しだけ距離と間があるように感じていて、その階にいる時は何となく気になって見ていた。今年になって変化が表れた。話ししているじゃない!相手の女の子は私によく話しかけてくる子だった。「今日はこけてね、右足のここ擦りむいたの・・」「お腹すいた、早く食べたいよ・・これ好きなやつ・・」「今日はお母さんが・・」。立っていると大体子どもは家での事、「昨日お寿司食べに行って10皿は食べた・・」とかさっきあった出来事思っていることをそのまま直球で投げてくる。その時に「へぇ沢山食べたんだね、何食べたの?」など質問してみると又またその時の状況が返ってくる具合でおもしろい。
話し戻ってその(割と)無口だと思っていた女の子もお友達と笑って話しできるようになって良かったな成長したんだね、とふんわりほっと嬉しく感じていたことだった。私は給食の台車を下の階に下げるちょっと忙しい時間でリフトと台車を往復していたその時、女の子の声がした。振り向くと最近表情に色がついてきたその子、可愛い声で何やらにこにこしながら私に質問していた。最後しか聞き取れなかったこともあって「あら今日は。何が好きって?」「うん、私ね好きな給食2つあるんだけど何だと思う?」「うーん、やっぱり揚げパンかな、きなこの揚げパン。それかカレー、あピラフかな?」「揚げパンも好きだけどねぇ、ジャージャー麵と大学芋だよ。」「そうなんだ。美味しいよね、おばちゃんもそれ好きなやつだよ。」「うん!」と短い会話をしてやっぱりお花が咲いたみたいにニコニコでポニーテールをゆらして教室へ走って戻って行った。
何だか公園を散歩していて高木の葉っぱの間から少しずつまばらにさした陽が緑の葉っぱに当たってきらきらした風景を見ているようなほっこりした幸せな一時、光がさしたなと思った。