昔からの写真~現在のもので大量にある中、とても懐かしい一枚に目が留まった。名はJose Ojeda。彼は最初ビヒランテというアパートの門の鍵を開閉してくれる仕事をしていて、出入りする時に「お元気ですか?」「はい元気です、ありがとう。ホセは?」「元気。にしても暇です。」と肩をすくめていかにも退屈な表情で同じような会話をしていた。
治安が悪いという事でこの鍵の開閉や、家の玄関扉(お勝手)は重い扉とレイハという鉄格子で二重になっていて合わせて鍵は6個位あったと思う。あと住んでいたアパートはもう一つの出入り口、エレベーターがリビングに着くというちょっと変わった位置(こっちが玄関かも)でここにも鍵は3つ(だったか・・)あって、エレベーター自体にも鍵を挿していた。要は鍵だらけだった。これだけ鍵をしても偽警官がやってくるので注意してとか誰が来たとしても開けては絶対だめと聞いていたりで警戒心を常にもっていた。なのでこのビヒランテも「どんな人」か何となく見ていた。
ある日「ビヒランテを辞めるよ。」というのでどうするのか聞いたら次はタクシードライバーになるという。ある学校へ行くのに遠くて車がなくて困っていた私には彼の転職はとてもタイミング良かった。互いに電話番号を交換して、この日大丈夫?とか車がだめになったから(故障しやすかった)とか連絡しあった。本当に道中故障して別のタクシーを捕まえてくれて、自分の得たお金を渡してそのドライバーに道の説明までしてくれていた。(実際自分からは案内できなかったと思う)そして彼の帰りに困るだろうと少しでもとお金を渡そうとしたら今日の仕事はできていないからと断った。
帰国するのに彼との最後の日は少しのプレゼントをしてハグして互いの幸せを願った。その後も短時間だけれど、電話料金がかかるのに「元気?」と掛けてきてくれて12時間の時差を感じさせない何気ない会話をしていた。なのにしばらくして私が電話を変えて連絡を途絶えさせてしまった。
あれから国の情勢、コロナ禍・・ 長い長い時が経っている。どうか元気に生きていてほしい。