気持ちの良い秋晴れの平日とあって以前から気になっていた井之頭公園に行ってみた。初めて一人で行く所には毎度ながら少しの緊張を感じるが、公園前になるといつもの公園の違う盤、落ち着いた樹々と今度は静かな池を中心に憩いの場が広がって見えた。静な公園に静かにしぜんと入って行けて少しほっとする。広さ加減が分からなかったので看板地図を見て施設の確認してみると、「動物園」の文字が見つかって次の目的地点は即決となった。
水辺を渡るための橋「ひょうたん橋」「七井橋」・・(あと覚えていない、、)という名前の橋ほかが数か所に架けられていた。陽射しが今日は最近では珍しく皮膚がじりつくほどの熱さだったが、陽の当たる樹々の葉や水面は、眩しくきらめいていた。にしても、暑い。そう、昼前だったので何となく人の流れに身を任せて階段を上った所にお店が続いていたので、手前にあったサンドイッチを買って池周りのベンチに座っていたのだった。上着はぬいで、帽子は持ってこなかったのを少し後悔しながら途中からほおばって移動した。
その七井橋という所から、水鳥が何やら鳴きながら水に潜ったり止まったりしているのや樹々を暫く見ていた。すると歩いてきたおばさんから「あれは**鵜ね、口の下(顎)が黄色でしょ、渡り鳥は・・・これはカイツブリで・・・」と説明を聞きつつ会話が続き、あー近所だといつも見ているから詳しいんだなと勝手に思っていると、最後に「吉祥寺駅はあっちで合ってるのかしら?」と聞かれたので、内心で違うかったのかと思いつつ「はい、案内がそう出ていましたので合っていますよ」と返した。失礼しますで別れた後、本当は最初から駅の方角を聞きたかったのかも、と思ったりした。
動物園は水鳥中心、リスの小屋もあった。噛む速さや移動が人の倍速?で忙しそうですばしっこく可愛かった。
と、公園内に重厚な人の彫刻が広がってきた。なんだか空気が違う、更に静か。彫刻館は入らなかったがアトリエという場に興味があったのでこちらの「アトリエ館」に入って見ることにした。誰もいないのかな?と開けて入ってみると一人だけおられた。なんだか人の部屋に入るような感覚、お邪魔します・・ 目に飛び込んできたのは長崎の平和祈念像、北村西望のアトリエだった(ちゃんと入口に書いてあります)。なんでもご本人は約12mの大きい像を希望されていたのだが、予算の関係から約9mとなり、といってもとてつもなく大きいものなので創作するにもスペースが必要ということでこの場にアトリエが作られた経緯があった。上に挙げられた手は原爆の脅威を指し、伸ばされた左手は平和を、軽く閉じた目は犠牲者の冥福の祈りが表現されている、とのことだ。
自分は長崎の完成された像は見たことがなく、北村西望もこの世におられないが、想いを込めて実際にこのアトリエで木を組んで原型を作り工程がふまれていった場を見ることができて、貴重な場所だと思うと同時に5年の歳月をかけて創り上げられた日本での一つの貴重な作品だと改めて思えた。
又ほか館内で見事だったのが、加藤清正の鎮座像だった。
この空間には確かに「魂」が宿っていた。
*表写真は、「快傑日蓮」という作品です *アトリエ館内は写真が撮れません