「バラ」とカタカナで書こうとして変換したら漢字で出てきた。読めるけれど書けない漢字、見れば見るほど不思議な気がして題は「薔薇」としてみる。更にこの漢字、気になって検索してみると垣根にバラが風にそよいでいる、つるバラのことを指しているとあった。二つの文字からそういう情景があったのね、と妙に感心する。
最近、近くのバラ園に行ってみたのだった。今日と違って心地よいお天気だったので、写生している人や施設のご老人たち、カメラマン、自分のような人・・どこかしらに見物人がいた。アーチのゲートをくぐると、中央には数種類のみごとな南瓜・草花が納まりよく飾られていて、まさにそこに収穫があった。
肝心の薔薇は、種類もさまざま、品よくたくさん花開いていた。名前プレートには分類、開花サイクル、樹形、病について、あと香りの強さが記されている。この花は「ノック アウト」これってハッとする色だからかな・・とか「ダブル・デライト」二色だものね、とかあと人の名前も多数だったので興味深く字を追ってみた。香りが強いの、紅茶の香り、スパイス・・と最終的にはプレートもあまり見ないで匂いをかいだり、嗅ぎにいかなくても香ってきたり。写真に撮ったり見入ったりしていると、女性から「これってローズヒップになる実よね、すごいと思いません?わたしこんなになってるの初めて見たのよ」と話しかけられた。自分は知らなくてハロウィン色のかわいい実がたくさんなってるなぁ位でじっと見ていたところだったので、「ローズヒップってあの紅茶のですか?」と返すと、「そうそう、紅茶であるでしょ。こんなになってるの初めてみたのよ」と。「そうなんですね。いやぁ見事になってるなと思って見ていたんですよ」としばらくこの固いオレンジの実の前で、やはり互いに写真に収めた。
しばらく腰かけていたのだが、ご老人が近づいて来られたので場所を譲ろうとしたら「いいのよ、ここにいて」と、施設から来られた老婦人の方ともベンチで話しした。「私は**の方に住んでいるんですけど、近くにこんなバラ園があるんだったら主人と来たのにね・・」と言われた。そうなのね・・そんな事を思えるって素敵だなと思った。少し離れたところから集合写真を撮ろうとこの方が呼ばれていたので、「呼ばれていますよ。」というと、「そんなのいいのよ」、施設のスタッフの方にも何回も断っておられた。ぼそっと「そんなの撮ったって・・」。 なんとなく、ご主人とだったら一緒に撮りたかったんじゃないかなという気がした。そうこうしているうちに、別のおじいさんから「この葉っぱこすってみ。匂いするよ、ね、ね」と何回も聞かれた。何回も言われるのでなんだか匂いがしてくるような・・しないような・・するのかな・・「ええほんとに。」
穏やかな天気の下、さまざまなきれいなバラに色んな人が集まってきていた。写真を撮ろうとする色んな花弁の中にも虫が訪問していた。人も虫も同じ気がした。