ベネズエラに住んでいた頃のこと。初めての旅行でカナイマに行った。20年前後のことだが今まで見たことのない自然につつまれたとても貴重な経験だったからだと思うが、写真をみると滝の音、色、風、ひと、ハンモック… 自分のこめかみの後ろの方からじんわりくっきり断片的に思い出されてくる。
到着しようとした空港にまずおどろきだった。よくみるきれいな滑走路につくのかと思いきや、見えてきたのは砂利っぽい道路?のようなこじんまりとした地に降りたのである。まぁ下調べが足りない(制限のある生活で精神的に全く余裕がなかった)といえばそれまでだが、次におどろいたのがツアーの案内人が上半身はだかで裸足の少年だったこと。わたしは同志に、これは外国人からぼったくるためだましの遣いを来させたんじゃないの⁈と不安をかくしきれず何度も言った。のちにこれはとても失礼な発言だと知ることになる。
そんないきなり後ろ向き不安の気持ちをよそに、少年はVamos!(行きましょう)と、小さなボートに乗り宿泊場所まで率いてくれた。といってもきれいな部屋のある屋内ではなく、外で屋根のあるところにハンモックが吊ってあり、プラスチックの白いテーブルとチェアーが置かれているシンプルな空間だった。近いところで滝の音がした。
別世界にきた不思議な気持ちだった。
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