空をみて

初めて埼玉県の長瀞に行った。約1キロの長い緩やかな川の流れが続くことからこの名前がついたようだ。この日は冷たい風が吹きウインドブレーカーでは少し肌寒かったが、宝登山頂についたときには景色をみてそれも忘れる心地よさがあった。また桜開花前とあったためか、登る前に利用した長瀞駅や道中も人は少なめで、ノスタルジックな風景をしずかに感じとることもできた。

コースは初心者向けとあったが、山頂まえの急な階段はおたのしみはこれを越えてからねといわんばかりのステップだった。その向こうは、雲の下山が連なり、その下には町が広がっていた。傍らお月さま色下ろうばいがやさしく咲いていた。すこし降りたところでは、「梅百花園」という名まえのごとくさまざまな種類の梅を愛でることができた。やわらかな陽ざしに梅の香りで、時をわすれておなじような写真を何枚もとり、木の下に座ってはまた遠くの山と空を眺めてずっといたい気分に浸っていた。そして商店街で豆菓子を試食して買ったりして、天然記念物の岩畳へ向かった。くわしくは色々書かれているが、結晶片岩がミルフィーユみたいに重なりかたまって岩となった。百聞は一見に如かず、自然のちからを感じることができた。

今日の水は空気も冷たいこともあってさらに冷たかったけれど、夏はライン下りをしたら気持ち良いだろうなと思った。冷えすぎたそばの昼食をとり、時間はちょうどよくを見ることにした。汽笛は京都の梅小路で聞いたことがあったが、実際これから線路を進もうとする汽車の音ともったりとした蒸気の広がりは、生きものが動き出すエネルギーのようで、また日頃聞かないトーンでもって哀愁を感じ、汽車と人の体に共鳴させるものであった。ゆっくり進みだす汽車はとても重厚で、近くの幼い子のいってらっしゃーいという何度もいう声がとても可愛らしくて、すがたが見えなくなるまで見入っていた。とても良かった。

ほんと久しぶりのちょっとした遠出ができて、いつもと違う自然にふれることができてしあわせな日だった。

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