
近くに大きな公園があることもあって、最近では週末にさんぽすることが習慣化されてきた。気候がよくなりジョギングコースを行く人も多くなり、お弁当をひろげるひと、ベンチで日向ぼっこするひと、気功、ペットのさんぽ、楽器を鳴らしたりいつにも増して色んなひとを目にする。 それを横目にひたすら樹々が待っている土の上を歩く。やはり枯れ葉や根、実のクッションのうえは、すいすいと心地よく進んでいけるのが良い。
そしてみなそれぞれ静かなのがいい。樹は、人が切ってしまわない限りいつもそこにいる。枝が切られていても幹が力強くふんばっているものもいる。陰になって細い樹であっても、光をもとめて高く伸びている。また樹々がつらなっていると、互いに光や空間を得るのにゆずりあうように枝がのびあっている。葉もおなじ。とてもきれいで、すいこまれるように歩いていく。落ちつく。あと色もいい。なんともいえないくすんだ緑と頭上は陽がさして透けてみえる緑、幹にまとった苔の緑。そしていまは春本番に向けて細い枝に小さな黄緑色の命がたくさん灯されている。
樹はとても静かで、力強くて、語りかけてくるような神秘と生命力を感じる存在である。